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ISTS 2004、宇宙旅行セッションをキャンセル

何故、ISTS宇宙旅行セッションをやめるのか?

 

 ISTS(宇宙技術および科学の国際シンポジウム)は2年ごとに日本で開催される、国内最大の宇宙国際会議です。

 1994年のISTSにおいて、観光丸プロジェクトについて複数のポスタープレゼンテーションが行われました。その内容は、日本ロケット協会(JRS)に所属する研究者達が1993年から数年にわたって行った、宇宙旅行に使用するロケット旅客機の最初の詳細な研究です。

 日本ロケット協会は研究を続け、多くの書類やレポートを作成し、1996年及び1998年のISTSでは、宇宙旅行についての講演がいくつか行われました。当時、観光丸プロジェクトは、ISTSの参加者を含む世界中のプロフェッショナルから大きな賞賛を受けていました。また、観光丸プロジェクトは数多くのメディアにも大きく取り上げられ、「日本ロケット物語」著者:大澤弘之(1996)や、「Halfway to Anywhere(翻訳書名;宇宙観光がビジネスになる日)」著者:Harry Stine(1996)などの本の中でも紹介されました。

 2000年と2002年(講演リスト:2000年, 2002年)に開催されたISTSでも、宇宙旅行のみの特別セッションが設けられ、どちらの年も大成功でした。講演にはANSARI X PRIZE創始者ピーター・ディアマンデス氏(Peter Diamandis)や再使用型ロケット・DC-Xのプロジェクトマネジャー、ウィリアム・ガーバッツ氏(William Gaubatz)など世界の著名人が訪れました。少数の人しか集まらない多くの他のセッションと違い、この宇宙旅行会場には多くの人が詰め掛け超満員となりました。

 2002年のシンポジウムには、米国連邦航空局(FAA)商業宇宙輸送部門ペティー・スミス局長(Patti Smith)が参加し、基調講演を行いました。その後、彼女は米国大使館からFAAの代表と一緒に日本航空協会や運輸省を訪問しました。このISTS 2002では、宇宙旅行に関する一般公開特別イベントが開催され、宇宙旅行についての議論が行われました。

 宇宙旅行、特に準軌道宇宙旅行は2002年以来、その進歩は世界中で加速しています。最近では、ANSARI X PRIZEコンペティションが成功し、アメリカが準軌道宇宙旅行を急速に発展させています。

 しかし2003年になって、旧航空宇宙技術研究所(NAL)の所長がISTSの委員長に就任し、彼のチームはISTS 2004において宇宙旅行セッションをやめる決定を下しました。 この決定は、この仕事の将来の可能性などを議論されずにされました。もちろん、なぜこの宇宙旅行セッションが日本国民や日本の宇宙産業に有益なのか説明されることもありません。皆さんその理由 を考えてみて下さい!

 宇宙産業の中で最も経済発展がありそうな分野は、日本が先端研究を行っている宇宙旅行です。アメリカでは、ANSARI X PRIZEのゴールが近づき、宇宙旅行時代が幕を開けようとし、またその他の国々も日本に追いつけ追い越せと励んでいます。しかし、このような時に、日本は宇宙旅行の研究や活動を止める決定をしているのです。

  2003年にJAXAが発足する以前、NALにおいて宇宙旅行についての研究は行われませんでしたので、ISTSで宇宙観光旅行産業についての研究発表をやめるという決定は、NALの方針の続きのように思われます。

  注目して頂きたいのは、1994年、1996年、1998年、2000年、2002年と、過去5回全てにおいてISTS の宇宙旅行セッションは成功してきましたが、宇宙旅行に関するこれら研究の全ての仕事は政府からほとんどサポートを受けていないのです。任意団体である日本ロケット協会の宇宙旅行研究企画は、全く政府のサポートを受けていませんでした。筆者は1997年から2001年まで、NASDAから招聘研究員として、パートタイムで働きました。(そのことに対しては、非常に感謝しています。)また、再使用型ロケット実験機・RVTは1998年から約1億円だけしか受け取っていません。対照的に、 日本ロケット協会が宇宙旅行研究を開始した年である1993年以来、政府は宇宙旅行以外の宇宙活動に約2兆円を使ってきました。

 宇宙旅行に関するこれらの研究は、JAXAや旧NASDA、旧NALにおけるどのような研究開発よりも経済的な価値があります。宇宙旅行事業の発展により、宇宙産業は航空産業のような新しく大きな商業産業となる事が出来るのです。アメリカ政府も最近、ようやくこの事実を理解し始めました。ANSARI X PRIZEにもアメリカ政府は協力しようとしています。

 中国やその他の日本よりも物価の安い国々が宇宙旅行に着手するようになるのは、そう遠い先の話ではありません。そうなれば、日本の宇宙産業は他国より遥かに高コストで宇宙旅行を行うことしかできず、宇宙旅行市場に手が出せなくなるでしょう。

 日本の市民、有権者、納税者は、日本が手遅れになる前に、経済効果の高い宇宙観光産業を育てる政策に変えるよう、政府にせまるべきです。

 
ISTS 2000 宇宙旅行セッションの講演リスト
ISTS 2000 盛岡
SpaceClliper Tourist Vehicle
Dr. William A. Gaubatz Universal Space Lines
Mr. Jess Sponable Universal Space Lines
Mr. Layne Cook Universal Space Lines
Mr. Matt Maras Universal Space Lines
 
An Air Carrier's Perspective On commercial RLV
Hitoshi Ohashi All Nipppon Airways Co., Ltd.
 
Space Tourist Research
Dr. Harvey Wichman Claremont McKenna Colledge
Dr. William A. Gaubatz Universal Space Lines
 
Concept for Functionally-Distributed Space Hotel
K. Nozaki Shimizu Corporation
S. Matsumoto Shimizu Corporation
N. Isome Shimizu Corporation
K. Takagi Shimizu Corporation
M. Onuki Shimizu Corporation
 
Space Transportation and Risk Management from an Insurance Perspective
Darcy Beamer-downie Airclaims London
Thomas Schimid Airclaims London
 
Design Difference between Reliability of Rocket and Safety of Aircraft
Tatsuya Maruyama Kawasaki Heavy Industries, Ltd.
Koich Yonemoto Kawasaki Heavy Industries, Ltd.
 
A Study of Safety Standard for Space Tour Vehicle: Structural Design Requirments
Akira Miyahara Fuji Heavy Industries, Ltd.
 
The X PRIZE: An International Competition to Launch the Space Tourism Industry
Peter H. Diamandis X PRIZE Foundation
Gregg E. Maryniak X PRIZE Foundation
 
Legal Framework for Space Travel
Yoshiyuki Funatsu Narita college of Aviation
 
Space Policy, Space Tourism and Economic Policy
Patrick Collins Azabu University
 
Safety Consideration of the KANKOUMARU Mechanical & Electrical System Design
Shunichi Okaya Nissan Motor Co., Ltd.
 
The Requirement of Rocket Engine for Space Tour Vehicles
Kazutaka Iwama Ishikawajima-Harima Heavy Industries Co., Ltd.
ISTS 2000 プログラム
 
ISTS 2002 宇宙旅行セッションの講演リスト
ISTS 2002 松江
Draft of "Spaceworthiness" for Space Tour Vehicle
- Activity Report of the JRS Transportation Research Committee -
Teruo Torikai Fuji Aerospace Tehnology Corporation
Koich Yonemoto Kawasaki Heavy Industries, Ltd.
Tetsuya Muruyama Kawasaki Heavy Industries, Ltd.
Osamu Kitayama Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.
Akira Miyahara Fuji Heavy Industries, Ltd.
Kazutaka Iwama Ishikawajima-Harima Heavy Industries Co., Ltd.
Noboru Shinozaki IHI Aerospace Co., Ltd.
Sadao Kondo All Nipppon Airways Co., Ltd.
 
The Cost to Taxpayers of Governments' Anti-Space Tourism Policy,
and Prospects for Improvement

政府の宇宙観光旅行拒否政策による納税者の損失及び各国の改善の展望
Patrick Collins Azabu University
 
The Japanese Rocket Society's Rocket Symposia: 1995-2001
- With an Overview of JRS's Space Tourism Study -
Yoshifumi Inanati Institute of Space and Astronautical Science
 
Toward a Piloted, Sub-orbital, VTOL Demonstrator: Test-Flights 1999-2001
Yoshihiro Naruo Institute of Space and Astronautical Science
Yoshifumi Inanati Institute of Space and Astronautical Science
 
Interests of Japanese Airlines in Space
Yoshiyuki Funatsu Chairman, Space Tourism Commercialization Research Forum,
Japanese Rocket Society(JRS)
Chairman, Air & Space Transportation Research Committee,
Japan Aeronautical Association(JAA)
 
A Blueprint for Evolving Space Tourism
Dr. William A. Gaubatz SpaceAvailable, LLC
ISTS 2002 プログラム
 
ISTS 2002 特別セッション
 “The Day Japanese Voyage to Space”
ISTS Special Session with Shimane Pref.
Keynote Lecture   Manned Space Flight in Japan
Toyohiro Akiyama   Former Space Correspondent
 
Memorial Lecture The Iwami Ginzan Sliver-Mine and Great Navigation Age
Haruko Wakita The University of Shiga Prefecture
 
Panel Discussion The Day Japanese Voyage to Space
Panelist
Toyohiro Akiyama Former Space Correspondent
Keiko Chino Yomiuri Simbun
Junya Nishimoto METI
Jiro Kouchiyama NASDA
Hirotoshi Kubota Univ. of Tokyo
Coordinator
Shinichi Nakasuka Univ. of Tokyo
 
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