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H2Aロケット失敗

今こそ日本の誤った宇宙政策を正すべき時

再使用型準軌道旅客機は、より安全で、より安く、そして経済的により重要である。
 

 11月29日に起こったH2Aロケット6号機の打ち上げ失敗は、日本の納税者に対する高価な損失でした。しかし、この事故は政府によって誤って導かれた宇宙政策を正す良い機会です。今、宇宙産業にとって最も重要な目的は、日本経済の再生に貢献することです。そして、それは国民が購入したいサービスを開始することを意味しています。宇宙産業の中で唯一有望なサービスは宇宙旅行です。これは、五代富文博士(NASDA前副理事長)、井口雅一宇宙開発委員会委員長、狼嘉彰慶応大学教授(NASDAアドバイザー)など、その他多くの学識ある人々によって公的に認められています。

しかしながら、JAXA長官である山之内秀一郎博士と小泉政権の宇宙政策担当者が、宇宙観光産業を実現させる仕事に必要な資金提供を全て拒否しています。その代わり、宇宙旅行を実現することに少しも寄与しない、H2Aロケット、ISS(国際宇宙ステーション)そして人工衛星に巨額の税金を投入しています。さらに、山之内博士やJAXA幹部は、より安全で、より安く、より経済的価値のある準軌道宇宙旅行について議論することさえ拒否しています。

山之内博士は、信頼性を専門とする経験豊かなエンジニアとして、使い捨て型ロケットを使用すれば、高い信頼性を達成することは不可能であることをとてもよく知っています。H2Aのような使い捨て型ロケットは、ミサイルまたは花火のように一度だけしか飛行しません。そして、ごく僅かしか製造されません。これだけで、高い信頼性を達成するために十分な運用上のデータを蓄積することは不可能です。H2Aは99%の信頼性さえ達成することはできないでしょう。この数字を達成するには、さらに後95回の連続打ち上げ成功が要求されます。およそ30年と数兆円がかかります!対照的に、飛行機、船、バス、車、自転車など他の全ての乗り物は、みな何万回も使われます。そして、多量の統計資料がそれらのあらゆる部分に関して収集され、非常に高い信頼性を可能にします。さらに、それらは多くのテストを受け、使い捨て型ロケットと比較できない程はるかに安全になります。

3年前、山之内博士がNASDA長官に就任した時、「商業化を優先して行う」とスピーチの中で述べました。しかし、これは不可能であることが分かったので、「H2Aロケットの運営は、国民の技術的プライドのシンボルである」という意見に変更しました。彼は、「無人の使い捨て型及び再使用型人工衛星打ち上げ用ロケットを開発するために納税者はJAXAに税金を支払うべきで、旅客用再使用型ロケットについては数十年後の話としてのみ考えるべきだ」という、従来の宇宙局の考え方に従う方を選んだのです。

この考え方は、全く間違っています。

まず、飛行機は「無人使い捨て型飛行機」と「無人再使用型飛行機」の開発から始まり、それから数十年後「有人再使用型飛行機」を開発したわけではありません。飛行機は、他の全ての輸送機関と同様に「有人で再使用型の乗り物」から始まりました。そして今日、旅客航空旅行は、何千万もの人々を雇用し、毎日300万人の乗客を運んでいる世界規模の商用産業へと発展しました。対照的に、宇宙は納税者に非常に大きな損失を負担させる状態が続いています。世界の宇宙局は、これまで1兆ドル以上を使いましたが、小さな商業人工衛星産業を創っただけであり、NASDAは3兆円を使いましたが商業宇宙産業を創ることができませんでした。

そして1960年代になって、宇宙旅行は飛行機と同様に有人再使用型ロケット飛行機によって開拓されました。当時、ヨーロッパのロケット飛行機はマッハ2、アメリカのX-15はマッハ6まで到達しました。しかしその後、冷戦によって、米ソ間の長距離核ミサイル開発競争が激しさを増し、この2つの国は、再使用型ロケット飛行機ではなく、ミサイルの先に乗組員を乗せて軌道へ打ち上げを開始しました。これは、旅行するには非常に高価で危険な方法です!

有人再使用型ロケットの開発は、そのまま続けていればちょうど商業旅客打ち上げサービスを開始することができたであろう1960年代の終わりに停止してしまいました。非常に幸運なことに、NASAやESAが強く旅客宇宙旅行に反対しているため、日本は準軌道旅客宇宙飛行サービスにおいて他国をリードするチャンスが残っています。しかしこれは、日本政府が使い捨て型ロケットだけに力を入れる時代遅れの政策を変えることによって初めて生じます。旅客宇宙旅行を始める上で重要なことは、宇宙丸のような準軌道用のロケットから始めることです。

日本の国防のために、他国に干渉されず人工衛星を打ち上げる能力を持つことは価値があるかもしれませんが、他国のロケットに比べ高価で、信頼性が低いH2Aには商業的価値はありません。さらに、人工衛星を打ち上げる市場はとても小さく、年に10〜20基程度です。H2Aへの投資を返すためには小さすぎる市場です。このように、H2Aが成功または失敗しても、宇宙の商業開発や一般国民の宇宙時代の幕開けに全く関係がありません。宇宙丸プロジェクトが実現することによって初めて可能となり、しかも安全で、安く行うことができます。

この経済危機の中で、日本の宇宙産業のリーダーは「H2Aは商業価値を持つ」などという建前を述べることをいい加減、やめなければなりません。そして、準軌道旅客宇宙飛行を開発するために必要なごく僅かな予算を提供するべきです。この資金によって、日本の再使用型ロケットのパイオニアが、安くて安全な宇宙丸を造るでしょう。彼らはRVT(再使用型ロケット実験機)を開発しており、このVTOL RLV(垂直離着陸 再使用型ロケット)開発の分野において世界のトップに位置しています。彼らは、宇宙丸によって日本国民全てが楽しむことができ、そして経済の再生を助ける大きな新産業となるであろう宇宙飛行サービスを提供します。

小泉首相と彼の内閣は絶えず革新の必要性について語ります。しかし、彼らの宇宙政策は、まさに革新の正反対です。彼らは、税金を経済的に役に立たない、時代遅れの活動に注ぎ込むことによって、破滅するまで宇宙産業の首をしめ続け、最も有望なニュービジネスの機会を飢えさせています。日本のニュースメディアは、国民に真実を伝え、JAXAが行う活動を盲目的に支持する事を止めなければなりません。

山之内博士、JAXA幹部、そして小泉政権の宇宙政策担当者は、彼らの破滅的な宇宙旅行拒否政策を変え、そして最も経済的価値のある宇宙活動、宇宙丸プロジェクトを支持しなければなりません。さもなければ、辞任すべきです。

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